田舎ビジネスの成功例と失敗例から紐解く脱サラ起業前に準備しておきたいこと
はじめに
こんにちは、石本泰之です。
「この鉄筋コンクリートの四角い校舎で、いったい何ができるんだろう…」
兵庫県宍粟市の廃校を前に、私は立ち尽くしていました。
13年間勤めた大手自動車メーカーのエンジニアを退職し、
田舎起業を決意したものの、目の前にあるのは、
ごくごく普通の(いや、むしろちょっと地味な)鉄筋校舎。
視察に行った他の廃校活用施設は、
古民家風にリノベーションされた木造校舎だったり、
行政の後押しで立派な観光施設になっていたり。
でも、うちの校舎は…。正直、最初は「これは厳しいかも」と思いました。
ところが今では、週末だけの運営で月商100万円以上を達成。
年間1,200人以上が利用する人気施設になっています。
この劇的な変化のきっかけは、
夏休み期間中に都心部の小学生サッカークラブの合宿を受け入れた時だったんです。
「廃校でチーム全員が一緒に合宿できる環境は他にない」というコーチや子どもたちの声を聞いて、気づいたんですね。
「30人規模の合宿」というニーズが、実はすぐそこにあったんです!!。
今回は、僕自身が廃校を利用した田舎ビジネスを実践して、
週末起業で成功に導けた経験から、
田舎で起業する脱サラ前にぜひ知っておいて欲しいことを
お伝えしますね(^^♪。
【田舎起業の成功事例】廃校を活用した合宿施設で月収100万円を実現

ゼロからの挑戦:廃校活用プロジェクト
開業当初、僕の廃校活用プロジェクトは決して順調なスタートとは言えませんでした・・・。
2021年のコロナ禍、緊急事態宣言下での開業。
当初想定していたバイカーや外国人旅行者の利用は皆無。
1,000万円の改装費用の返済に追われる日々が続きました。
しかし、この「失敗」が、実は大きな転機となったのです。
転機となった夏休みの合宿
夏休み期間、都心部の小学生サッカークラブから
合宿の問い合わせがありました。
30人規模の団体が一緒に泊まれる宿泊施設を探していたのです。
ここで気づいたのが、「廃校」という施設の強みでした。
- 体育館と校庭があり、練習場所が確保できる
- 教室を改装した宿泊室で、チーム全員が同じ建物に宿泊できる
- 給食室を活用した団体食事の提供が可能
これらの特徴は、実は合宿施設として大きな競争力を持っていたのです。
成功を生んだ3つの戦略をお話します。
- ターゲットの完全特化
- 30人規模の団体合宿に特化
- スポーツ団体、学生、企業研修に焦点
- 体育館、グランド利用、宿泊の貸切プラン化
- デジタルマーケティングの活用
- 「合宿 宿泊施設」などのキーワードでSEO対策
- 体育館や設備の詳細情報をブログで発信
- オンライン予約システムの導入
- 地域との協力体制
- 地元の食材を使った団体食の提供
- 近隣農家との体験プログラム連携
- 地域住民による運営サポート
具体的な収益モデルはと言うと、
現在の月間収入内訳:
- 宿泊売上:100-220万円
- 体験プログラム:20-30万円
- 食事提供:15-25万円
- その他収入:10-15万円
特に重要なのが、リピーター率の高さです。
一度利用いただいた団体の約70%が、次年度も予約を入れてくださる。
この安定した予約が、事業の持続可能性を支えているんです。
おかげさまで、今では春休み・夏休みの合宿需要は半年~1年前には予約が埋まる状況になり、
その時期以外も年間を通じた安定運営ができるようになりました(^^)/。
【失敗事例】都会的なランチ経営から学ぶ田舎起業の落とし穴

都会の感性を田舎にそのまま持ち込む——。
これは、田舎起業における最も危険な落とし穴かもしれません・・・。
実際に、僕が経験した失敗例を紹介しますね。
ゲストハウス繁盛校での、
お昼のジビエランチと日本酒バーの営業です。
お昼のランチ:客単価1,500円。
夜のバー:客単価2500円
営業時間は夜9時まで。SNSでの発信も積極的に行い、
開店当初は地元の人も来てくれました。
しかし、3ヶ月後には客足が激減。
結果的に半年での撤退を余儀なくされました。
なぜ、こうなってしまったと思いますか?・・。
最大の要因は、
地域のニーズとのミスマッチでした。
都会では当たり前の客単価1,500円が、この地域では高すぎたのです。
また、夜9時までの日本酒バーの営業も、
日が暮れたら家に帰る田舎地域の生活リズムには合いませんでした。
さらに、地域の方々との関係構築にも課題がありました。
「まずは地域の方に喜んでもらえる店にしたい」という視点が欠けていたんですね・・・。
多くの田舎起業や移住してからの失敗は、
自分が良いサービス、商品と思って、
ビジネスを始めたものの、
そもそも、ニーズがそこに無かった・・・
というのが一番の失敗理由だと僕は今では思ってます。
なので皆さんには、こうならないように
しっかりとサラリーマン時代から準備をしておいて欲しいと思いますよ。

先程の田舎ビジネスの失敗事例には続きがあります。
都会基準のランチ、バー運営の撤退を決意した僕は、
地域の方々と率直に話し合う機会を持ちました。
そこで見えてきたのは、地域ならではの可能性でした。
地元の食材を活用した500円のランチセット、日中のみの営業、地域の集会利用への開放。これらの改善を行った結果、3ヶ月後には黒字化を達成できたのです。

この事例から学べる重要な教訓は三つ。
一つは、地域の実情に合わせた価格設定の重要性。
二つ目は、地域の生活リズムへの配慮。
そして最も重要な三つ目が、
地域の方々との対話を通じた事業の改善です。
結局のところ、田舎での商売は「地域あっての商売」なのです。
まずは地域に寄り添い、
そこから可能性を見出していく。
それが、田舎起業における成功への近道だと思いますよ(^^)/。
すぐ始められる!田舎起業の有望アイデア5選

ここでは僕の経験上から比較的田舎起業のアイデアとして、
週末起業からでも始めやすそうなものを紹介しますね!。
1. 農産物の6次産業化
地元の野菜や米を活用した加工品開発は、
週末から始められる有望な事業です。
繁盛校では、地域の農家と連携し、
無農薬米の栽培から始めて味噌や日本酒の製造へと展開。
食材の調達から加工、
販売までを一貫して行うことで、高い付加価値を生み出しています。
2. 空き家活用型の民泊事業
空き家や廃校などの遊休施設を活用した宿泊事業は、
初期投資を抑えながら始められます。
地域の補助金制度を利用し、必要最小限の改修から始めることで、
リスクを最小限に。週末限定の運営からでもスタートできます。
3. オンラインと実店舗を組み合わせた特産品販売
Webサイトでの通信販売と、
週末だけの実店舗運営を組み合わせるハイブリッド型の販売モデル。
繁盛校では、平日はオンラインで予約管理を行い、
週末は宿泊、日曜日はカフェ、物販を実施してます。
デジタルとリアルの相乗効果で安定した売上を確保しています。
4. 都市部向けワーケーション施設運営
コロナ後の新しいニーズに応える事業として注目。
廃校の教室をコワーキングスペースに転換し、
体育館や調理実習室を活用したプログラムを提供。
Wi-Fi環境を整備し、
仕事と地域体験を組み合わせた新しい価値を創出できます。
5. 田舎暮らしに興味ある人へに体験農業スクール
地域の高齢農家の知恵を活かした、
都市部で田舎移住に興味ある人向けの農業体験プログラム。

米作りや有機栽培での野菜栽培の技術継承、
健康増進、生きがいづくりなど、複合的な価値を提供。
週末開催のため、運営側の負担も少なく始められます。
いずれのアイデアも、
最初は週末だけの小規模な運営から始め、
実績を見ながら徐々に拡大していくアプローチが有効です。
デジタルツールを活用した効率的な運営と、
地域資源の活用がポイントとなりますよ(^^)/。
田舎起業を成功に導く3つの準備ステップ〜廃校活用の現場から〜

ここでは、僕が実際に経験した田舎起業を成功に導くための
準備ステップについてお話しします。
1. 市場調査で見えた意外なニーズ
正直に告白すると、最初の事業計画は完全に見当違いでした”(-“”-)”
当初は「バイカーや外国人バックパッカーの宿」を目指していたんです。
でも、2021年のコロナ禍での開業。想定していた客層は全く来ない…。
ここで気づいたのが、
「まずは3ヶ月、徹底的な市場調査を!」するとう言うこと。
周辺の宿泊所の競合施設を調査することから始めで、
自分達の武器は何かを再確認す。
そして、検索エンジンのキーワード分析から、
実際にお客さんとなる人達は何を求めているのか?
をしっかり数値として把握する。
その中で見えて来たのが、
「30人規模の合宿施設が少ない」
これが大きな転機に。
体育館付きの宿泊施設として再スタートを切れたんです。
2. 地域との関係作りは草刈りから
「よそ者が来た」と警戒されるのは当たり前。
だからこそ、最初の半年は地域との関係作りに注力しました。
具体的には:
・まちづくり協議会More繁盛の活動に参加
・地域の清掃活動に毎回参加・
・お祭りの準備から片付けまで手伝い
特に印象的だったのは、地域のおばちゃんが、
「この子、ちゃんと草刈りもするわ」と認めてくれた時。
これをきっかけに、
清掃スタッフとして協力してくれることになったんです。
3. 設備投資は3段階で慎重に
エンジニア時代の経験から、
「フェーズを分けて進める」という考えを大切にしてきました。
僕の場合、廃校という大きな物件かつ、
地域のコミュニティの場の提供という、
地元の課題をいきなり背負ってしまった為に、
設備投資の額が補助金と合わせると
いきなり2500万円を超えるという、
ドン引きするような額になってしましましたが・・汗
空き家などを利用してもっとコンパクトに開始することは、
一般的には可能だと思います。
第1フェーズ(200万円)
- 2部屋だけ最低限の改装
- Wi-Fi環境の整備
- 予約システムの構築
第2フェーズ(100万円)
- 地域の補助金を活用
- 共用スペースの改装
- 簡易キッチンの設置
第3フェーズ(50万円)
- 予約状況を見て判断
- 客室の追加
- 設備の充実
「小さく始めて、確実に育てる」。
この方針が、リスクを抑えながら成長できた秘訣かもしれません。
この準備、時に市場のニーズ調査は、
サラリーマン時代でも全然できることだと思います。
田舎起業を成功させる為には、
サラリーマン時代からの準備がかなり必要ですよ!!
これだけは押さえておきたい!私が経験した田舎起業の成功パターン

僕が実践してきた「田舎起業の成功パターン」を整理していきますね!。
1. まずは週末からコツコツと!
最初から全部やろうとして失敗する人、多いんです
私の場合はこんな感じで進めました:
【立ち上げ期】1-2ヶ月目
- 月2回の週末だけ営業
- 宿泊のみに絞ってスタート
- とにかくシンプルに!
【成長期】3-4ヶ月目
- 地元農家さんと体験プログラム開始
- 「田舎の良さ」を活かしたメニュー追加
- 少しずつできることを増やす
【発展期】5-6ヶ月目
- 音楽イベントや合宿の受入れ
- 地元特産品の物販スタート
- でも無理はしない!
今でも神戸と宍粟市の2拠点生活。これが実は強みになってます!
2. 複数の収入源で安定経営
「宿泊だけ」じゃ不安定なんです。うちの収入構造はこんな感じ:
メイン収入
- 合宿・団体宿泊で月100-220万円
追加収入
- 農業体験や音楽イベント:月20-30万円
- 特産品販売など:月5-10万円
季節で変動があっても、複数の収入源があれば安心です!

3. 地域の皆さんと一緒に作る
これが一番大切!地域の方々との協力なしには絶対に成功しません。
具体的には:
・掃除はおばあちゃんたちにお願い
・お米は地元農家さんから直接購入
・体験プログラムは地域の達人に講師依頼
・地域の行事には参加する
まちづくり協議会More繁盛を中心に、
地域全体で支えてもらってます。
「よそ者」の私を受け入れてくれた地域の皆さんには本当に感謝です(^^)/
まとめ
「週末起業」は、リスクを最小限に抑えながら、
夢に向かって進める現実的な選択肢です。
私は13年間のエンジニア生活から、
神戸と宍粟市の2拠点生活を実現できました。
あなたも、まずは週末から、
無理のない一歩を踏み出してみませんか?。
地方には、まだ多くの可能性が眠っています。
あなたの経験やスキル、
そして「地域を良くしたい」という想いが、
新しい価値を生み出すきっかけとなるはずですよ。